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No.8 RE:お古~ KAIEのルーツ~
November 9, 2014

古くなった布をすてるのはもったいない
使わなくなった服を裂いて
ビーズや植物とミックスしたら
また使いたくなるものが生まれた
私は親が共働きだったので、
おばあちゃん子として育った。
おばあちゃんは子守りをしながら、よく針仕事をしていて、
型紙もないのに、私の体に布を合わせただけで、器用に洋服を作ってくれ、
サイズが合わなければ布を足したり、切ったりしながら
スカートやズボンを直してくれた。
私が転んでズボンに穴があくと、その裏側に布を当て、
ひざ小僧の部分に いびつな形の「継ぎあて」をしてくれた。
私はそれを履いてお友達に会うのがすごく嫌で、
「新しい服買ってよ。恥ずかしいよぉ」って、両親や祖母を時々困られていた。
今だって、いかにも継ぎあてをされた洋服を着てたら恥ずかしいけど。
その頃の我が家は、毛布を使わずに、
おばあちゃんお手製の「寝具」で寝ていた。
それは、着物の形をした巨大な「綿入れはんてん」のようなもので、
我が家では「寝巻き」と呼んでいる。
両手を寝巻きの袖に入れて寝ると、
肩も隠れ、体全体がすっぽり包まれるので、
寒い夜はとても暖かい。
おばあちゃんが仕立てた寝巻きの柄は、
新しいうちはシンプルなのだが、
使っていくうちにほころびが出てくると、
おばあちゃんはハギレや手ぬぐいで繕って、
あちこち「継ぎあて」だらけになる。
中綿も、何年かに一度洗って入れ替えてくれる。
それを何年も繰り返していると、寝巻きは捨てられることなく、
独自の色合いの「継ぎあて寝巻き」が仕上がるのだ。
その後、私は高校を卒業して上京したのだが、
引越しの時は、柔らかくて肌触りが良いアクリル毛布を買った。
新しい生活に憧れていたので、
くたびれたボロの寝巻きは持っていく気にはなれなかった。
それから20年が過ぎ、おばあちゃんは亡くなってしまったが、
おばあちゃんの「寝巻き」は今でも現役で、
帰省した時はちゃっかり使っている。
ほころびの処理もきちんとされていて、状態はとても良い。
子供の頃に見た懐かしいハギレ布が所々に縫い合わされ、
それは、色鮮やかなパッチワーク作品に見えてしまう。
今だから分かる。
おばあちゃんは、寝巻きの色合わせも考えて直していたんだ。
なんとも懐かしく、時代を経てきた重量感が私の心にギュンと入ってきて、
思わず涙がごみあげてきた。
かけがえのない1点モノとは正にこのことだ。
もしかしたら、私が死んでもおばあちゃんの寝巻きは残っているかもしれない。
私が古くなったモノに魅力を感じるのは、
きっとおばあちゃんの影響を受けているのだろう。
時間が刻み込まれた布に心が引かれてしまう。
縫ったり、裂いたり、編んだりして再生する喜びを知っているし、
そこに様々な素材を混ぜると、
もっと味がある新しいものが生まれるのだと信じてる。
私はお古オタクなのだろう。
作家活動をはじめて3年が過ぎ、
実体験で確信したことをご報告しました。
KAIE
2014/9/12
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No.19


KAIEのルーツや記憶を蘇らせた19の文章。
それらを基に、2014年11月に開催した3人展では、KAIEの祭壇を設置しました。
もし、この世に神様や精霊がいるのなら、いままで無事に生きてきた事、
様々な人達との出会いに感謝します。
母の羊水の中の記憶。偶然もらった紙切れやハギレ・洋服・今まで印象に残っている場所行動・旅・めぐり合った言葉。
/// 3 TRHEE EXHIBITIONS 3人展の情報はこちらから